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着物の実寸サイズの設計図
図案で着物のデザインの種類や年代、季節や着て行く場所などを考慮しながら絵柄や配置を決めた後、全ての基礎で、とても重要な工程である草稿・下絵 に入ります。
草稿や下絵をもとに、デザインや柄が出来上がっていくため、この工程がよく出来ていないと、その後の仕事に大きな支障となります。そのため、着物の良し悪しは、この下絵で決まるといっても過言ではありません。
草稿とは
図案の工程で書いた雛形(ミニチュア版)を元に着物と同じ寸法の紙にあたり(下書き)をしていきます。
あたりを書いた後、墨で本書きをしていきます。これらの工程を草稿を描くと表現されています。
下絵とは
図案をもとに直接、仮絵羽した白生地の着物に青花で下絵を描いていくことを下絵と言います。
※草稿も下絵も、次にする糊置のために描くものであり、工程の方法は違うものの作業目的は同じなのです。
しかし、近年では、以前作った全く同じ着物を再び作る際、毎回、白生地に青花で直接描かなくてはいけない下絵の工程よりも、
一度、紙に描けば、その草稿を何度も使うことの出来るということで、少しでもコストや時間を省くため草稿を使われる職人さんのほうが多くなっています。
※仮絵羽とは、
通常の着物の模様付けは反物の状態で行いますが、絵羽模様の場合、模様づけする前に模様が縫い目で切れないように白生地を裁断、着物の形に仮仕立て(仮縫い)をします。
※青花とは、
露草の花弁を絞って得た汁ですが、早朝に開花した花はその日の昼頃には萎んでしまう上、搾り取った汁はその日のうちに使わなければ変質してしまうため、青花摘みと青花紙作りは酷暑の中、休憩の取れない作業が連日続く、過酷な作業でありました。
このような理由から、最近では化学青花といい、青花の代用として考えられたものが使われております。
そして、青花は蒸しの工程で高温の水蒸気と反応して色が消えるので、残ることはありません。
草稿の作業工程
まず始めに、墨で本書きをする時の下書きとなる、あたりをします。
そのあたりが終わった後に、墨で本書きをしていきます。
このような墨を付けて、草稿を描いていきます。
下絵を描く場合は、水ですぐ消える青花で白生地に書いていきますが、草稿の場合は墨で紙に模様を書いていくため、失敗しても簡単に消すことができません。
そのため、本書きの際には、とても慎重に描いていく必要があります。
※下絵に比べて草稿は修正することが少し難しいですが、万が一、そういった場合でも、その間違った箇所の上に紙を貼りつけることによって、修正することが出来ます。